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祖父。

祖父。

祖父の言葉を思い出していた。
実は自分が祖父の言葉を覚えている数はとても少なくて、ほんと、ただひたすら愛情を注いでもらったという記憶しかない。そして、自分は彼が大好きだった。

最近本で、「あなたが出会う人は全員ソウルメイト」という表現を読んだのだけれど、血の繋がっていない祖父も紛れも無い「ソウルメイト」だったように思う。ただの戸籍上の関係からは見ることのできないほど、深い関係であったように思う。

彼は、2014年10月にこの世を去った。
散歩中の事故で負った傷が、彼の体を蝕んだ。
母は、彼の前で悲しみを一切見せなかった。それが、彼女の彼に対する愛の示しだと考えていたから。

僕は、なんだかよくわからなかった。
実を言うと、彼が死んだと言う事実について、未だなおあまり実感がない。
わかってはいるのだが。
なんとなく、寂しくないのだ。

正確には、寂しくなくなった。
自分のことを証明しようと思って生き続けていた塾の教室長時代は、深い悲しみに覆われていた。その時も、今と変わらず理解はできてなかったけれど。

きっと、祖父に対してもっとしてあげたかったことや、感謝の気持ちを伝えられずにいたと言うことについて、自分がとても執着していたのだと思う。

でも、今はもうそんなことはない。
彼の魂は、おそらく、近くにいる。
別に特定の宗教に固執しているわけではないが、ようやく実感としてそれがわかってきた。

祖父の言葉の話だ。

祖父の言葉でよくリフレインするのが、「誘惑に流されるな」だった。

言葉の意味を表層だけ捉えていた当時大学生の自分は、それでもよく理解していたつもりだった。

でも、何度もリフレインしていた。
その度に、その言葉について想いを巡らせた。

今年になって、そしてこの12月になって、改めてストラックした。
これは、思い出そうと思って思い出しているのではなく、自然の中で自然と雨が降るように、突然また思い出された。

そして、自分の中である確信を得た。
「誘惑に流されるな」とは、「自分の人生を生きろ」と言うことだと。
他人は何も与えない、と。

今この記事を書いていて、とても大きな愛に包まれている感覚に陥っている。
自分が今やっていることが正しいのだと、祖父から承認をしていただいた気がしている。
そして、伝えたい感謝は、あの世に行かずとも、今、感謝を込めて祈るだけでいいように感じている。

人生で最も尊敬しているのは、紛れもなく、祖父だ。

by takuro_s_sound | 2017-12-21 20:00 | 人生の師

singer guitarist composer 森拓郎のページです。


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